安くで気軽にお腹を満たせる、中華料理。
特に東京だと、どの駅前にも必ず中華料理店があるといっても過言ではありませんよね。
最近のテレビ番組では、ガチ中華料理店を紹介する内容が増えているなど、日本人の中華料理への関心の高まりを感じています。
本記事では、そんな中華料理の本質に迫るべく、「中国の食文化」をテーマに、中国人である私の夫に話を聞きました。
1996年生まれ、来日4年目の中国人。中国の大学で日本語を学び、日本の大学に編入。
出身地は中国南方の上海に近いが、北京で育った。
中国人の割には辛いものが苦手。
日本でも、西日本と東日本で食文化は異なりますよね。
私は中国の北の方で長く過ごしたので、北方寄りの中国人の意見としてお話しします。
ガチ中華料理店かどうかの見分け方は、3つある
ーー日本には、本当に中華料理店が多いですよね。本場の味で育った中国人からすると、日本の中華はぶっちゃけどうですか?
やはり日本人の好みに合わせられている店が多いですよ。
その中で、本場の味を体験できるガチ中華かどうか見分けるポイントがありますので、3つ紹介しますね。
一つ目は、店員さんの日本語が怪しいかどうか。
中国人が運営していて、なおかつ店員の日本語が怪しければ怪しいほど信頼できます。
日本人とか、日本に慣れていて日本語が上手な中国人がやっている店は、味もやはり日本人の好みに寄せています。
2つ目は、看板の文字です。
「中華料理」と書いている店が多い中、看板に「中国料理」とある店は本物ですよ。
実は中国語に「中華料理」という言葉はなくて、日本で作られた言葉なんです。
3つ目は、食卓に黒酢があるかどうか。
日本人に合わせた店だと、醤油と透明のお酢しかないことが多いんですが、本場の中華料理だとやっぱり黒酢ですね。
中国だと餃子に黒酢をつけて食べるのが基本ですから。
ーー私の大好きな王将はどうですか…?
王将は中国人の私からしても味は本当に美味しいですよ!
ただ「天津」という料理は中国には存在しないので、「天津飯」とか「天津炒飯」は日本独自の料理だなあと思います。
「日本風中華」として、王将が中国で店を出したらすごく人気が出ると思いますよ。
あと、王将に限らず日本の中華料理店では、餃子は焼き餃子がメインですよね。
中国では水餃子が基本で、水餃子の余りを焼き餃子にして食べます。
焼き餃子は「鍋貼(グオティエ)」と呼ばれています。
中国菜(中華料理)は、地域によって種類がさまざま
ーーひとくちに中華料理といっても、色々種類がありますよね。
本当に数えきれないくらいたくさんありますが、有名なものが8つあって、8大料理と呼ばれています。
私が一番好きなのは、東北料理です。
特徴として、とにかく量が多くて、肉がたくさん入っていて、しょっぱいです。
寒い北方の料理なので、入手できる具材の数も少ないので一気に大量に作る鍋料理が基本ですね。
上海を中心とした、暖かい南の地域の江南料理も有名です。
河魚がメインで、味は日本っぽくてあっさりしていて、ちょっと甘い。
江南料理は味が繊細なので、私の口にはあまり合わないですね…。
豪快な東北料理とは対照的に、見た目にこだわっていて、すごく綺麗です。
会社や政府の偉い人が海外からの来客をもてなす際の料理を「国宴(グオイェン)」というのですが、国宴では基本的に江南料理が振る舞われますよ。
ーー日本では、四川料理を知っている人は多いと思います。
そうですね、日本人がイメージしやすい中華料理は、四川料理かもしれませんね。麻婆豆腐とか。
内陸の四川省は湿気が高いので、体内の湿気を排除できる辛い料理が好まれるようになりました。
普段から辛い四川料理で汗をかいて、肌の老廃物を排除しているから、四川は美男美女が多いと言われています。
中国では外国の料理を安易に食べられない
ーー日本人は、家で和食以外の料理を作って食べる機会は多いです。中国ではどうですか?
中国人は、家で基本的に中華ばかり作っていますよ。それ以外のものが思いつかないんです!
日本人のように、「今日はパスタを茹でよう」とか「カレーを作ろう」という発想が出てこないんですよ。
幼少期から中華料理を食べて育っているので、ほかのものは作らないですね…。
ちなみに、中国では男性が料理することが多いですよ。
中国で結婚のハードルが上がっているので、料理は男性の必須スキルです。
ーー中華料理への愛がものすごいですね。街には外国の料理を出しているレストランは少ないんですか?
中華以外のレストランは普通にありますが、日本ほど種類は多くありません。
日本では、洋食の中でもイタリアンとかフレンチとか区別されていますよね。中国では、「洋食」の一括りにされています。
日本にはエスニック料理もたくさんありますね。
特に日本で食べられるインドカレーには感動しました!
中国はインドの隣なのに、中国でカレーを食べられる機会はありませんでした。
家族が日本に遊びにきたら、絶対にインドカレーの店でナンを食べさせてあげたいです。
ーー中国のレストランで食べられる外国の料理は、具体的にどのようなものがありますか?
洋食、韓国料理、和食の順に多いです。ほかはあまり見かけません。
中国人の中で、韓国はビビンバ、日本は寿司のイメージがありますが、日韓の料理の区別はついていないので「日韓料理」の括りになっていることが多いです。
最近は、家で出前を取る人が増えているので、外食産業が不振になっています。
中国のデリバリーは外卖(ワイマイ)と呼ばれていて、注文して15分くらいで届くので本当に便利。
料理を提供する側は、店舗を持たず、家で料理を作っていることもあります。
実店舗のレストランと違って、作っている様子がわからないので、衛生面が最近問題になっていますね…。
デリバリーの料理は基本的に中華ですが、ドラマの影響で韓国のチキンも人気でした。
日本のコンビニで買える肉まんは、ちょっと嫌
ーーほかに、日本に来てから食のことで感じることはありますか?
コンビニのレジの前で、暖かい肉まんが売られていますよね。あれは少し甘い気がします。
中国で食べる肉まん(包子、バオズ)に慣れているので、日本の肉まんのあの甘みにはちょっと違和感がありますね!
あとは、ラーメンの味が醤油、とんこつ、味噌くらいしかなくて、バリエーションが少ない。
日本に比べて、中国のラーメンの方が種類は豊富かもしれません。
でも、日本の米は最高に美味しいです。
スーパーで売っている食材だと、日本では野菜が個包装されていて、産地が書かれているのがいいですね。
中国だと野菜は裸の状態で積まれていて、泥もついている場合が多いです。
ーー中国と日本は、食文化の面でもたくさん違いがありますね。本日は、ありがとうございました!
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