あなたの職場に中国人はいますか?
あるいは、街中でやたら中国人が増えて困惑している人もいるかもしれません。
『日本のなかの中国』の帯には「日本人の友だち?1人も、いません。」という衝撃的な言葉が書かれています。
タイトル | 日本のなかの中国 |
監修者 | 中島 恵 |
出版社 | 日経プレミアシリーズ |
発売日 | 2024.09.10 |
価格 | 税込990円 |
日本に住む中国人の実態について、さまざまな中国人に取材した内容をまとめた本です。
作者の中島恵さんの取材力や、人脈の広さには感嘆せざるを得ません。
本書を通じて、独自のコミュニティを作り、日本人とほとんど関わらず生活している中国人の存在が浮き彫りになります。
この記事では、中国人の夫を持ち、中国文化について発信している私の視点で、本書を読んで感じたことを深掘りします。
このサイトの管理人、茜です。
1995年生まれ、滋賀県出身。東京在住。
大阪大学外国語学部ドイツ語専攻を卒業し、中華系IT企業に勤める会社員。
マッチングアプリで出会った中国人男性と2023年に結婚。
彼の両親と自力で話せるようになるべく、中国語を勉強中!
YouTubeチャンネル『日中夫婦 健&茜』で中国文化や国際結婚について発信しています。
中国の各SNS含め、総フォロワー数5万人、累計再生回数3,000万回突破。
\中国文化のリアルを発信しています/
中国人との共生を考える
2023年12月時点で、日本に住む在日中国人は約82万2000人。これは山梨県や佐賀県の人口に匹敵します。
中国人が私たちの社会で存在感を増す一方で、文化や生活習慣の違いが、互いに理解し合う難しさを生んでいるのも事実です。
本書を読んで感じたことを、以下の4つの観点でお話しします。
- 日本に来る中国人が変化|「日本に関心のないガチ文化人」とは?
- 中国人の独自コミュニティが形成された街|西川口の実態と感想
- 中国のSNS文化|発信者としてのあり方
- 激しい競争が生む才能|中国の音楽家も日本に移住
日本に来る中国人が変化|「日本に関心のないガチ文化人」とは?
かつて日本に来る中国人は、日本文化に興味を持ち、日本語を学び、日本社会に溶け込もうとする人が多く見られました。
私の夫もその一人で、留学から始まり、就職、永住権取得という道を歩んできました。
私の周りにいる中国人の友人たちも、同じような経緯を持つ人が大半です。
しかし、ここ10年で状況は大きく変わりつつあります。
本書によると、最近増えているのは、「日本に興味を持たない」層の中国人。
彼らは中国語圏のSNSであるWeChat(微信)を駆使し、ほぼ日本語を使わず、中国語だけで完結する生活を送っています。
富裕層が日本経済の安定性や投資メリットを目当てに移住するケースも増加していますが、こうした層が日本人と深く関わることは稀です。
私が勤めてる会社の創設者の1人も、リタイアして今日本に住んでいるとか…
本書で触れられている「日本人の友だちがいない」という現実は、このような背景に由来しているのです。
一方で、日本に住む中国人への偏見も根強く、SNSで私たちが動画を投稿すると「税金を払っているのか」「国に帰れ」といったアンチコメントがつくこともあります。
多分私、彼らよりは税金払ってるよ!
日本人と全く同じように、収入により税金や年金の額が決まります
特に富裕層の中国人がこうした偏見に直面することは想像に難くありません。
お互いの理解を深めるために、こうした状況を改善していくことが必要だと感じます。
中国人の独自コミュニティが形成された街|西川口の実態と感想
埼玉県西川口は、本書でたびたび登場する場所で、中国人コミュニティが形成されているエリアです。
実際に夫と訪れ、動画を撮影してみましたが、想像の50倍くらい「中国化」が進んでいました。
街中には「四川◯◯」や「雲南料理」など、中国の地方名を冠した飲食店が並び、まさに「ガチ中華」の世界です。
中国人による中国人向けの不動産屋や旅行会社が街中にあるのも驚きです。
日本人に遠慮なく大通りに堂々と建っています。
日本とは思えない異様な雰囲気で、確かに日本語なしでも生活できそう。
日本人は東口に住むしかないのでは?と思ったほどです(汗)
一方で、夫はこうした中国人が集まるエリアに住むことを避けています。
その理由は「中国人を騙すのも中国人だから」。
詐欺電話が頻繁にかかってくることや、入国管理局や強制送還といった言葉を使った脅しが横行している現状が背景にあります。
中国人同士のネットワークが便利である一方、トラブルの温床になるリスクもあるのです。
中国のSNS文化|発信者としてのあり方
中国ではSNSが非常に重要な役割を果たしています。
仕事もプライベートも、ほぼすべてがWeChat(微信)を通じて行われます。
私の夫も仕事仲間と連絡を取るために常にWeChatを使用しており、タイムライン「朋友圏」で周囲の近況をチェックし、デートに出かければ「朋友圏」に投稿し、「誰々からいいねがついた」と確認しています。
このように、中国人の生活や人間関係はSNSで成り立っていると言っても過言ではありません。
また、信頼できる情報源としてWebサイトよりもREDの投稿が重視される文化もあります。
私自身Webライターの仕事もしているのもあり、内容の著作権や情報の信憑性が大丈夫なのか正直心配
日本ではSEOも重要ですが、中国ではSNSの発信力が優先され、SEOの影響は少ないのです。
私自身、日中で発信活動をしている中で、SEOを駆使して正確で信頼性の高い記事の作成を目指していますが、中国ではインフルエンサーとしての影響力が何より求められるように思います。
この文化の違いを理解した上で、今後の発信方法をどう選ぶべきかを考えています。
「インフルエンサー」ではなく「総合メディア」として差別化したいと思ってきました。でもこのやり方ができるのは日本だけかも。
中国サイドではREDの運用を強化しつつ、あくまでインフルエンサー路線で行くべきかもしれません
激しい競争が生む才能|中国の音楽家も日本に移住
本書では、中国の音楽家が日本に移住し、活動している現状が描かれています。
中国では芸術分野における競争が激しく、才能ある人々が海外に活躍の場を求める例が増えています。
私自身、アマチュアトランペッターとして中国の音楽文化にも関心があります。
本書では「二胡」や「クラリネット」奏者について触れられていましたが、トランペット奏者の私から見ると少し状況が違うようにも感じました。
抖音(中国版TikTok)に演奏動画を投稿した際、500万回以上再生された経験がありました。
例の動画⏬
【中日夫妻 健和茜的作品】【中日夫妻】日本妻子吹奏亮剑主题曲! # 中日夫妻… https://v.douyin.com/iyS2LRDM/ U@L.jP SYz:/ 09/27
私は日本のアマチュア演奏家としては大して目立つ存在ではありませんが、中国では珍しさも相まって高い評価を受けることがありました。
「プロなのか」「(冗談で)党の音楽隊に入ったらどうか」などのコメントをたくさんもらいました。日本ではここまで誉められることはないと思う
本書で述べられる「音楽競争の激しさ」については楽器の種類によって事情が異なるのかもしれません。
私が検索した限りでは、トランペット奏者の層は日本の方が厚いように感じました。
競争が激しい一方で、特定の分野ではまだ発展途上の部分もあるのかもしれません。
まとめ|中国人との共生に必要な視点と未来の形
本書を通じて、日本に住む中国人の実態や背景を理解する重要性を改めて感じました。
お互いの文化や価値観を尊重し、違いを受け入れる姿勢が、これからの共生社会を築く鍵になるはずです。
この記事がその第一歩となれば幸いです。『日本のなかの中国』、ぜひ手に取られてみては。
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